墨攻

中国古代の戦国時代を背景とした小説だが、マネジメントの手本としても楽しめた。ほとんどが農民、しかも老人や子供、女性も戦力にしなければならない弱小豪族の城郭を、守備のプロが単独で乗り込み、大国の侵略から守るという話。あらゆる資源を使い、組織管理や人間心理、技術を駆使して、貧弱な戦力を強化するところは見事であった。大国の凄まじい攻撃を様々な戦術で迎撃するところがリアルに描かれ、興奮した。あらゆる攻撃を想定した準備、相手の動きを読む為の情報収集、人を効率良く動かす為の組織作り、信賞必罰を基本とした人心収攬、人を鼓舞するネタ作り、墨子の思想に裏打ちされた信念の力等、この薄い文庫本から学ぶことが一杯あった。最も、楽しい時間を過ごせたのが一番の収穫だ。

墨攻 (新潮文庫)

墨攻 (新潮文庫)