ユーザ要件が決まっていないときの契約

ユーザ要件が決まっていないのに請負契約を結ぶのは請負側にとって非常に危険である。要件が決まっていないということは開発の範囲も決まっていないということである。開発規模の見積もりそのものができないし、見積もったとしてもいくら増えるのか見当もつかない。そういう時は請負契約ではなく、委任契約を結ぶ。役務を提供し、かかった時間でお金を頂くのだ。期間を決めてユーザと共に要件を定義する。場合によっては、設計工程まで委任契約にすることもある。
一方、委任契約にすると受注側に完成責任がないため、ユーザにとっては不利な契約になる。期待する成果を出させるための工夫が必要である。成果物を定義し、その完成責任を契約条項に入れておくと良い。また、定期的に作業報告書を提出させたり、成果物をレビューしたりして、進捗状況を確認することも効果がある。結果の見えにくい仕事をすることになるので、互いに信用のできる相手を選ぶべきである。